作業服とペットボトルの関係は?

時代と共に変遷を続ける作業服のスタイル。単に汚れてもいい動きやすいだけの服ではなく、それぞれの職種の用途に対応した機能性も備えています。新しい素材が登場したり、デザイン性も追求されており、その選択の幅はとても広いです。

仕事のモチベーションアップにもつながる作業服、実はペットボトルから作られているものもあります。ここではエコユニフォーム、再生繊維について見てみましょう。

ペットボトルのリサイクル

軽くて丈夫なペットボトルはその利便性から大量に生産されるようになりました。ですが、環境や処分方法についての危惧から容器包装リサイクル法が制定され、PETボトルの分別収集や再商品化の取り組みが始まり、現在は随分定着しています。

最近では脱プラスチックの動きもあり、リサイクルを促進する案も様々考えられてきています。簡単な再利用方法として、ペン立てのようなオブジェを作ったり、飲み口に専用キャップを付けて植物の水やりに使用するというような使い方をしたことがある方は多いのではないでしょうか。

各地域の分別収集で大量に集められるシステムが整備され、開発にある程度の投資を必要とするとはいえ、ペットボトルは大がかりなリサイクルにも次第に利用できるようになってきています。既にオランダではペットボトルのキャップとプラスチックカップを加工して作った試験的な自転車道が完成しており、様々な実験が行われているペットボトルを使った舗装道路の実用化、汎用化も近いかもしれません。

そのような中、実用化されてかなり知られるようになってきたのがペットボトルを原料とした再生繊維で作る作業服です。コスト面や品質は以前より改善され、会社のユニフォームとして環境保護に貢献する意義も加わり、今後人気が高まる可能性が高い素材です。

再生繊維とは?

ペットボトルとプラスチックは何が違うのかとゴミを分別しながら疑問に思われた方もいるでしょう。実はペットボトルは数あるプラスチックの原料の1つから作られており、それがポリエチレンテレフタレート、英語では「POLY ETHYLENE TEREPHTHALATE」と言い、その頭文字を取ってPETボトルと呼ばれています。

このポリエチレンテレフタレートは石油から作った原料に熱を加えて加工した樹脂です。この樹脂から作ったペットボトルも熱を加えると溶けるため、糸状にして繊維が作ったものを再生繊維と呼んでいます。因みに再生繊維には、この化学系と言われるペットボトルをポリエステル繊維にして再生したものと植物系と言われる木材パルプや綿といった天然素材を再生して作ったものの2つがあります。

植物系の再生繊維はレーヨンやキュプラで、こちらは既に多くの方がご存知でしょう。ペットボトルから再生繊維を作るには熱を加えて加工すれば良いのですが、もちろんその前の段階があります。家庭からペットボトルを回収し、原料に適していないものを除いてから粉砕、洗浄し、それから不純物を取り除くのです。

素材メーカーや縫製メーカーの努力によってこういった各段階のコストが下げられつつ、品質の向上も実現しています。ペットボトルは今のところキャップやラベルは除いたり、無色ボトルを分離したりといった作業が必要ですが、それを考えるとゴミを分別・回収する際もより有効にリサイクルされるよう工夫が施されることが望まれます。

ペットボトルから作った素材の品質は?

ペットボトルが原料の化学系の再生繊維は丈夫で熱や日光、また薬品にも強いとされています。また、適度なハリがあるおかげでスタイルが作りやすく、シワにもなりにくいという様々な長所があります。そもそも繊維そのものが丈夫ですから、作業服以外にもフロアーマットやスクールバッグにも加工されているくらいです。

作業服に適した様々な性質を併せ持ち、環境に優しく、価格も他の素材と肩を並べるとなれば、エコユニフォームは今後ますます市場の拡大が見込まれます。因みにペットボトル約10本もあれば、上下の作業服1着分の繊維ができます。

どんな作業服があるの?

エコユニフォームは既に季節に対応した様々なアイテムが出回っています。

半袖・長袖シャツから防寒ブルゾン、コートやズボンはもちろん、スカートもファッション性を追求したデザインが選べます。参考元|作業着ズボン

色もスタンダードなパステルカラーから濃い色、また反射材がついた安全ベストまでアイテムが揃っています。

他の素材と価格面で目立った違いがなくなったため、たまたま選んだ作業服がエコユニフォームだったということもあるでしょう。かなりの浸透度が伺えますね。ユニークなものとしてはエコマーク認定のレインコートもあります。

燃やしてもダイオキシンが発生しない素材で、防水布はポリウレタンコーティングを使用しているので防水と透湿の両面を兼ね備えている優秀な一品と言えます。レインコートは外で作業を行う複数の職種に共通したアイテムですから、幅広く用途があります。

さらなる差別化、そしてエコの輪を広げる

ペットボトルを原料とした再生繊維を使った作業服の中でも、さらにその使用割合が製品の重量の50パーセント以上のものにはエコマーク認定が受けられます。エコマークは1989年に制定され、既に長い認定実績を誇ることからもとても知名度が高いですね。

リサイクル製品を実現するには地域や製造者、そして消費者たちの連携の輪が大きく定着することが欠かせません。分別が簡単になったり、気軽にリサイクルについての知識が広がるようにもなると環境対策は進むことでしょう。

エコマークを発行している公益社団法人日本環境協会は2010年に初めて表彰制度を創設しました。「消費者の環境を意識した商品選択、企業の環境改善努力による、持続可能な社会の形成」に尽力している会社に送られる賞です。

優秀賞、そして最優秀賞に選ばれた会社の中には作業服のメーカーも含まれています。最後に、着古したユニフォームを破棄する場合に気を付けなければならないことはセキュリティ面です。そのため、各企業ではその処理方法をマニュアル化しているところもあります。

ペットボトルをリサイクルして作った作業服の有効な廃棄方法を提案するユニフォーム製造メーカーも中にはあるようです。安全に廃棄するためには費用や手間がかかりますが、製造メーカーが回収するという活動も行っています。

エコユニフォーム1つについても、ペットボトル製造の会社、繊維メーカー、ユニフォーム製造メーカー、小売店等々がより連携しやすくなると良いですね。